ホルベイン アーチスト色鉛筆
発売30周年記念モデル
ウッドボックス 150色セット
色彩の風景
ふと目を向けると、
空が悠然と広がっていた。
どうしようもなく
美しい世界と出会った時、
人は描く心を抑えられなくなる。
風景をとらえ、
指先から画面へつなぐ。
静寂に広がるのは、
鮮やかな150の色彩。
1993年に誕生した
ホルベイン アーチスト色鉛筆。
その確かな品質で、
多くのアーチストを支えてきた。
30年という歳月を経て、
ホルベインのものづくりへのこだわり、
日本の素材と技術が融合し、
このアーチスト色鉛筆
ウッドボックスは生まれた。
技術と素材を美に
素材の美しさと職人の手仕事にこだわった、まるで工芸品のようなアーチスト色鉛筆ウッドボックス。ふたは天然木を使用しており、ひとつひとつ異なる表情です。重ねて収納できる重箱のような造りは、全3段のすべてのトレイを並べると150色全色を見渡せます。斜めに削がれた面で積み重なり、滑るようにスタッキングが可能です。
トレイは、北海道産の間伐材と再生紙を組み合わせて作られたもの。美しい材料の特性を利用しており、面と内部に美しいカラフルなラインを描いています。
環境にやさしい日本製
収納された色鉛筆やアーチスト色鉛筆ウッドボックス本体は、製造加工にいたる全てが日本で作られています。北海道産の間伐材と再生紙を組み合わせた環境負荷の少ない合板を採用し、安全なノンホルマリン接着剤を使用。また、中トレイはパルプモールドを採用するなど、再生しやすい容器・資材設計を行い、環境負荷低減に取り組んでいます。
ホルベインアーチスト色鉛筆
ウッドボックス 150色セット
OP948
本体サイズ:W465×D220×H77mm
本体重量:約4.0kg(色鉛筆150色含む)
材質:シラカバ材、シナ合板、再生紙
塗装仕上
ウッドボックス
開発ストーリー
150色が広がる
体験を作る
新たなアーチスト色鉛筆のボックスの開発は、ホルベインの開発担当者の故郷であり、木工業が盛んな山形の繋がりを辿ることから始まった。「日本のものづくりを世界にアピールしたい」「描く人をもっと楽しくしたい」という想いを受けて開発に協力いただいた、山形でものづくりをデザインの面からサポートしている山形県工業技術センターの月本 久美子さん(以下、月本)、ウッドボックスのプロダクトデザインを手掛けた渡邉 吉太さん(以下、渡邉)にその経緯を伺った。
日本のものづくりが
感じられるものを
月本このプロジェクトを始めるにあたり、ホルベインさんから「全色が見渡せること」「日本のものづくり」というテーマをいただきました。プレミアムなものを作るなら、例えば漆や螺鈿などを施した伝統工芸品のように、いくらでも贅沢にすることはできます。でも、それはお客さんが本当に望んでいるものなのかなって。あくまで色鉛筆という道具を入れる箱なので、使いやすさはもちろん、自分へのご褒美やお祝いに贈って喜ばれるような手に届くプレミアム感があるものがいいと思いました。
私が携わっている山形エクセレントデザインで、2019年に大賞を獲ったプロダクトのデザインを渡邉さんが手がけていたんです。その後も何度かご一緒していて、現場と密に打ち合わせを重ねる仕事の姿勢や工芸に対する知見、これは今回のプロジェクトに最適だなと思い、渡邉さんをホルベインさんへ紹介しました。
渡邉あの仕事はいろんな工場を橋渡ししてできたものです。デザインするだけではなく、製造業者さんと何度も相談しながら作りあげていくのが僕のスタイルでもあります。
月本せっかく作るなら、日本の技術、手仕事を感じられるものだと良いなって思ったんです。今までの引き出しタイプだと見える色の数が限定されてしまう。150色を見渡せるとすごいよねって、当時話していました。最初は工芸品のようなイメージでしたが、「いや、日本の工業技術もすごい」って渡邉さんが言っていて、可能性をすごく感じました。
渡邉ウッドボックスをデザインする上で、一番大事にしたのは開けたときの感動です。おせち料理が入るお重のようなワクワク感を再現したいと思いました。そこで、このプロジェクトに山形でできる最適な技術ってなんだろうって考えた時に、やはり「木工」かなと。その技術が特殊な金物などで留めるのではなく、トレイが滑るようにスタッキングできる気持ちよさにつながったんだと思います。
側面の色展開は、ある工場に行ったときに間伐材と再生紙を組み合わせたカラフルな素材があって、これはトレイに収める色鉛筆の色を箱でも感じてもらうことができそうだなって思ったんです。色鉛筆に合わせて、3段できれいに展開することができました。
デザインもそうですが、製造工程を合理的にすることも課題でした。工程を考慮してデザインに反映させたのは、例えば、底板を0.5mm浮かせていることです。置いたときに安定させる効果がありますし、全ての板がきれいに真っ直ぐではないので、多少盛り上がっていてもその差を吸収してくれる。また、組むときも多少の誤差がでるので、それをこの0.5mmが逃してくれる効果があります。
ウッドボックスの場合は、職人さんが切る、組むなどひとつひとつ手作業ですし、接着して乾かすだけで30分かかるので、ひとつ完成するまで時間が必要です。僕も木工を経験しているので、どうやって作るのか、同じ作業をどれだけ繰り返していけるかといった工程の美しさにもこだわりました。
月本ふたは、表情がそれぞれ異なるのもいい味になっていますよね。人に個性があるように、木もそれぞれ違いますから。長く使うことで味わいも深まっていきますし、それが愛着に繋がるのではないかと思います。
渡邉150色が目の前に広がるって、日常であまりない体験です。カラフルで見ているだけで楽しいし、ウッドボックスが絵を描く人のイマジネーションを膨らませることができたら、僕も幸せですね。
渡邉 吉太
株式会社アトリエセツナ代表取締役。1981年宮城県生まれ、東北芸術工科大学プロダクトデザイン学科准教授。スウェーデン国立芸術デザイン工芸大学/KONSTFACK留学後、フリーランスデザイナーを経て、山形にアトリエセツナを設立。家具・プロダクト・店・住宅など、ジャンルの垣根を超えたデザインプロジェクトを手掛ける。グッドデザイン賞他、受賞歴多数。
月本 久美子
山形県工業技術センター連携支援部デザイン科に在籍。山形県のデザイン振興指針に基づき、県内企業をデザインの面からサポートしている。情報サイト「やまがたのデザイン」や、県内でつくられた優れたデザインの製品や取り組みを選定・顕彰する「山形エクセレントデザイン」の運営も行っている。