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色材の解剖学② 油彩画の地塗り材

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色材の解剖学では、色材に関する基本知識から専門的な内容まで制作に役立つさまざまな情報をご紹介します。

油彩画の地塗り材

クイック ベース

木枠に張った状態で市販されているキャンバスは、すでに白い塗料による下地が施されています。改めて地塗り材を塗る必要がありません。しかし、キャンバスの目をなくしたいとき、色付きの下地にしたいとき、キャンバスを自作するとき、木製パネルなどキャンバス以外のものに描くときなどは、地塗り材を使う必要が出てきます。
油彩画の地塗り材としては、缶入りのクイック ベースが適しています。油性キャンバスに塗られている塗料と基本的に同じもので、やわらかい刷毛で塗ることができます。油彩画のホワイトに流動性を持たせたもので、アルキド樹脂を含んでいるため、普通の油絵具よりも乾燥が速いのが特長です。ペトロールで薄めて使うことも可能です。刷毛などを使って薄く1〜2回塗ります。厚くしたいときはさらに数回に分けて塗り重ねます。指で触って色がつかなければ描くことができますが、1〜2週間の乾燥時間を置くのが理想的です。
また、クイック ベースに用いられている顔料のチタン白には強い隠ぺい力があるため、古キャンバスを更生させる場合にも効果的です。古い油彩画を塗りつぶすときは、表面にサンドペーパーをかけ、クイック ベースの固着を良くしてから塗っていきます。

クイックベース

クイック ベース

カラー ホワイト、グレイ、アンバー、グリニッシュ、
マルーン、オーカー、テールベルト

容量 300ml、600ml

シルバー ホワイトとファンデーション ホワイト

表面に筆跡や凹凸のあるテクスチャーをつくりたいときは、ファンデーション ホワイトなど下地用の絵具があります。
油絵具のホワイトを使うこともできますが、その場合は乾燥が速く、塗膜が丈夫なクイックドライング ホワイトが便利です。
油絵具のシルバー ホワイトも地塗り用として一般的に使われていますが、実はこれには多少難があります。
普通、油絵具の展色材(糊材)には乾燥が速く、より堅牢な塗膜をつくるリンシード オイルが使われますが、ホワイト類は作品となった後も白さを保たせるため、黄変の少ないポピー オイルが使われています。シルバー ホワイトの顔料である鉛白は安定性に優れているため堅牢な下地をつくることができますが、絵具中に含まれているポピー オイルが堅牢性と乾燥速度でリンシード オイルに劣るため、下地用としては不向きなのです。
ファンデーション ホワイトをはじめとする地塗りを目的とした絵具は、顔料に鉛白とチタン白が使われ、展色材に全てリンシード オイルが使われています。後日の黄ばみは多少目立ちますが、上に他の絵具が塗られることを前提としているので、乾燥性や安定性が優先されているのです。
チューブ入りのファンデーション絵具には、ホワイトの他、アンバー(褐色)、グレイ(灰色)、グリニッシュ(緑色)と色の付いたものがあります。一般には風景画には褐色の下地、人物画には緑系の下地が効果的に使われます。

ファンデーション ホワイト

ファンデーション絵具

カラー ホワイト、アンバー、グレイ、グリニッシュ

容量 110ml、330ml



色材の解剖学は順次資料室へ収録していきます。