色材の解剖学④ 画用液の基本
色材の解剖学では、色材に関する基本知識から専門的な内容まで制作に役立つさまざまな情報をご紹介します。
画用液を使いこなす
画用液の種類と特長
画用液というとペンチング オイルがポピュラーです。なぜならそれひとつあれば油絵が描けてしまうからです。しかし、ペンチング オイルだけが画用液ではありません。丈夫で美しい油絵を仕上げるために、画家たちはさまざまな画用液を使いこなしてきました。まず、画用液の種類と役割、特色を紹介しましょう。
●乾性油(固着剤)
リンシード オイルやポピー オイルが代表的な乾性油です。
油絵具の顔料をキャンバスに定着させる糊の役割をします。大気中の酸素と反応して固化するため、体積が減らないのが特色です。
難点は反応速度がきわめて遅いこと。油絵具の乾燥に時間がかかるのはそのためです。乾性油は油絵具に加えることで、固着力と艶、透明度を上げ、作品を丈夫なものにします。
●揮発性油(溶剤)
油絵具の薄め液で、ターペンタイン(テレビン油)、ペトロールなどがあります。
時間とともに空気中に揮散し、画面には残りません。油絵具だけでなく、他の画用液を薄めるのにも使います。
●その他の助剤
絵具に光沢を与えるワニス、油絵具の乾燥を促進させるシッカチフなどがあります。
ペンチング オイルは乾性油、揮発性油、ワニス、乾燥促進剤をあらかじめ調合した画用液(調合溶き油)です。役割の異なる画用液を混合する手間が省け、平均的な性能を発揮します。さらに艶のある画面にしたり、さらさらに油絵具を使いたいなど表現の幅を広げたければ、プロセスや技法に応じてそれぞれの画用液を使い分けます。
画用液の使い方
表現の幅を広げるためにも知っておかなければならないのが、以下に述べる画用液の基本的な使い方です。基本を無視すれば、後日絵具が剥がれるなど事故にもつながりかねません。気をつけましょう。
色材の解剖学は順次資料室へ収録していきます。