色材の解剖学㉓ モデリング ペースト
色材の解剖学では、色材に関する基本知識から専門的な内容まで制作に役立つさまざまな情報をご紹介します。
モデリング ペースト
アクリル絵具の盛上げ材
アクリル絵具は今や絵画表現に欠かせない絵具です。しかし、油絵具のような凹凸のある盛り上げ表現を試みたい人には物足りない絵具かもしれません。
油絵具は酸化重合を行いそのままの体積で固化するのに比べて、アクリル絵具は水が蒸発して固化します。乾燥後は水分があった分だけ肉やせしてしまい、20~30%の体積が減ってしまいます。
かさが減ってしまうアクリル絵具をこってりと盛り上げられるように作られたのがモデリング ペーストです。
モデリング ペーストの種類
モデリング ペーストは、アクリル画に立体感を持たせる盛り上げ材です。それぞれ表面の仕上がりや粘度、重さに違いがあります。いずれも乾燥後はナイフや彫刻刀で削り形を変える事も出来ます。アクリル絵具を混ぜて色を付けることも可能です。
また、油彩画の盛り上げ下地材としても使えます。使う場合はしっかり内部まで乾燥させてから使いましょう。キャンバスに分厚く塗布すると剥がれる恐れがあるためご注意ください。
■モデリング ペースト
灰白色できめ細かくなめらかな表面の重厚な盛り上げが作れます。
乾燥後、削ると大理石のような面になります。
■モデリング ペースト ハイソリッド
白色でざらつきがあり、硬いエッジの効いた盛り上げが作れます。
乾燥時間が早く肉やせが少ないため、激しい凹凸もヘタらず残ります。
■モデリング ペースト ライト
白色でざらつきのある盛り上げが作れます。
セラミックパウダーを多く含んでいるので、モデリング ペーストに比べて重さが約1/4と軽いメディウムです。分厚く盛り上げる作品を作っても重量が軽く仕上がります。絵の表面に薄く塗って画肌づくりにも使えます。
■モデリング ペースト パミス
灰色で粗い砂目の盛り上げが作れます。
灰色の細かい砂でザラザラとした表面はそのまま使っても面白い仕上がりになります。
モデリング ペーストシリーズのそれぞれの粘度や乾燥後のやせの少なさの違いを図にしました。
ジェル メディウムを使った盛り上げ
アクリリック カラー[ヘビーボディ]などの透明なアクリル絵具をモデリング ペーストの上に塗ったり混ぜて使うと、どうしても特有の透明感が損なわれてしまいます。
それが嫌な場合は、透明に仕上がるジェルメディウムがおすすめです。粘度の高いジェル メディウム ハイソリッドや、つや消しの表面に仕上がるジェル メディウム マットなど好みに合わせて使用してください。
また、モデリングペースト、モデリングペーストハイソリッドは5mm以上盛り上げるとヒビ割れすることがあります。接着力の強いジェルメディウムをあらかじめ混ぜておくとそういったトラブルを防ぐ事が出来ます。
色材の解剖学は順次資料室へ収録していきます。