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色材の解剖学㉒ ジェッソ【アクリル絵具・応用編】

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色材の解剖学では、色材に関する基本知識から専門的な内容まで制作に役立つさまざまな情報をご紹介します。

ジェッソ【アクリル絵具・応用編】

ジェッソの種類と塗り方

アクリル絵具の下地材として欠かせないジェッソ。ホルベインにはS、M、L、LLと粒子の大きさが異なる4タイプのジェッソがあります。
Sは6μm(ミクロン)の微粒子タイプ。Mは15~20μmの標準的なスタンダードタイプ。
Lは40μmの粗粒子タイプ。LLは150~400μmの極粗粒子タイプです。
Sは卵の表面のように平滑な地肌、Mはつや消しのアクリル絵具マットタイプと同程度の地肌、Lは細かい砂目、LLはざらついた砂目のような地肌を作る事ができます。

ジェッソ S

ジェッソ S
(微粒子タイプ 6μm)

ジェッソ M

ジェッソ M
(標準粒子 15~20μm)

ジェッソ L

ジェッソ L
(粗粒子 40μm)

ジェッソ LL

ジェッソ LL
(極粗粒子 150~400μm)

基本のジェッソは白く下地が透けませんが、半透明のクリア ジェッソは下描きや色みを損なわずにそのまま着彩できます。下図の色見本のうち、斜めの鉛筆線と真横の青い部分はクリアジェッソの下に塗られています。

クリア ジェッソ M

クリア ジェッソ M
(標準粒子 15~20μm)

クリア ジェッソ L

クリア ジェッソ L
(粗粒子 40μm)

いずれのタイプも一度に厚塗りせず、刷毛などで薄く全体に塗りましょう。1度塗布したら乾燥、を繰り返して2、3回に分けて塗ると乾燥時間が短く均一できれいな下地ができます。
そのままでも塗れますが、粘度が高いと感じたときは水で薄めて使用してください。
Sの地肌はそのままでも平滑ですが、陶器のようなつるつるとした面に仕上げたいときには、乾燥後サンドペーパーで磨きます。また、L、LLを塗った上に、水をたくさん加えたアクリル絵具を塗ると泡が立ちやすくなります。泡肌になったらすぐに息を吹き付けて泡を消してください。

布やガラスなどに塗布する場合の注意点

基底材によっては、ジェッソを塗る前に前処理が必要な場合があります。


■布、木に塗る場合

何も処理していない生のキャンバスや綿布の場合、吸い込みを止めるためにジェル メディウムで目止めします。その上からジェッソを塗布してください。既成品の油彩アクリル両用の張りキャンバスは、下地処理を行っているので塗布の必要はありません。また、油彩用キャンバスには使用しないでください。剥離などトラブルが起こる可能性があります。
木の場合は、濡らすとアクが出て描画面が汚れる可能性があります。ヤニ止めシーラーを塗布してからジェッソを使用しましょう。


■ガラス、金属、プラスチックに塗る場合

ジェッソの付着性を高めるために金属・ガラスプライマーを塗布してから使用しましょう。
ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂には付着しないため使用できません。


■皮革、コンクリートに塗る場合

皮革には、そのまま薄く塗布します。ワックス加工をされている皮革は固着せず剥落するため、使用できません。
コンクリ―トにもそのまま使用できます。レンガや素焼き、石膏製品のように表面が粉っぽい場合は、表面を吸収性素材用プライマーで固めてから塗布しましょう。

ブラック ジェッソとカラー ジェッソ

白色のジェッソにアクリル絵具を混ぜて色のついた下地を作ることも出来ますが、彩度が低い淡いパステル調になってしまいます。
彩度の高い濃色の下地を作りたい場合は、カラー ジェッソやブラック ジェッソがおすすめです。カラー ジェッソは全21色で、絵具のように混色することも可能です。アクリル絵具を混ぜることもできます。



色材の解剖学は順次資料室へ収録していきます。