絵具、絵画材料のホルベイン

ニュースリリース > アートをはじめよう > 色材の解剖学㉔ アクリル絵具のつや

色材の解剖学㉔ アクリル絵具のつや

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

色材の解剖学では、色材に関する基本知識から専門的な内容まで制作に役立つさまざまな情報をご紹介します。

アクリル絵具のつや

アクリル絵具を塗ったときの光沢は、基本的に表面の平滑性によって決まります。
磨いた金属面やタイルのように表面が平滑だと光沢があります。そこに粗いサンドペーパーなどで傷をつけると凹凸が出来て光沢は無くなります。
絵具などの色材も同様に、塗膜の表面がどれだけ平滑な状態になっているかによって光沢の有無ができるということです。こういった絵具の光沢の度合いを決める要因は、次のうち3つに分けられます。

顔料と糊剤(メディウム)の比率

1つ目の要因は、糊剤(メディウム)と顔料の比率です。糊剤と顔料を混ぜ合わせるとき、糊剤の比率が多いうちは平滑な表面で光沢がある状態です。だんだんと顔料を増やしていくと、表面に顔料粒子が出現しざらざらと光沢の無い表面になります。アクリリックカラー[ヘビーボディ]とアクリリック ガッシュの光沢の違いはこの要因によるもので、もともとの顔料に違いはありません。


■アクリリック カラー[ヘビーボディ]

糊剤(メディウム)であるアクリル樹脂の比率が多いため、透明感と光沢のある仕上がりになります。


■アクリリック ガッシュ

顔料の比率が多いため、不透明で光沢のない仕上がりになります。
糊剤が少ないぶん定着性が劣ります。グロスメディウムを混ぜることで光沢と透明度、定着性が増します。

顔料の分散度合い

2つ目の要因は、顔料の分散度合いです。「分散」とは塊になっている顔料をロールなどの機械を使って細かく砕いてほぐしてやり、糊剤に均質に混ぜることです。何もしていない状態の顔料は、たくさんの細かい粒子がより集まって大小の塊となっているため、表面は凹凸がある状態です。製造時にロールなどの機械に通すことで分散が進み、顔料が一定の大きさに揃い表面が平滑になり光沢のある絵具になります。

つや消し材の使用

3つ目の要因はつや消し材を使用しているかどうかです。アクリル絵具 マットタイプやジェッソシリーズは、顔料とは違うつや消し材を混ぜることで光沢のない仕上がりにしています。
あらかじめよく分散させておいた絵具につや消し材を混合しているので、定着性を損なわずに光沢のない表面に仕上がります。アクリル絵具 マットタイプはジェッソMと同程度の20μmのつや消し材を混合しています。



色材の解剖学は順次資料室へ収録していきます。