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アーティスト インタビュー vol.6「今西真也」

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次代を担うアーティストの背景、作品に対する思い、メッセージを伺い、その素顔に迫る「アーティストインタビュー」。今回は第31回ホルベイン・スカラシップ奨学生であり、老舗奈良漬店での家業と作家活動を両立する、今西真也氏にお話を伺いました。

今西真也


 「見えること」と「見えないこと」との間を追うような作品を作ろうとしていました。例えば建築物を見る時も、頭の中と目で見えている認識は違うそうです。そういう認識のズレに興味があって、おもしろいなあと。元々素材が好きなので色々な方法を試しましたが、納得できるものが無くて。悩んでいた時に、テレビで歌川広重の作品を見たんです。同じ頃の西洋では、雨の表現を点で表していたところ、広重は線で表現していた。まあ木版画だからだとは思うんですが(笑)。それを見て日本人である僕たちは、点がつながって見えたイメージがあれば、頭の中でそれを整理して面にすることもできるんじゃないかと。隙間をあえて空けることで、見る人によって認識が変化するかもしれない。それは「見えること」と「見えないこと」の間を往復できる作品になるんじゃないかと思い、この表現につながりました。
はじめはジェッソを彫り、絵具を流し込んで表面を削って表現していたのですが、平面でデジタルのように見えました。それも面白いと思ったのですが、もっと作品に行為性を持たせたくて。近くで見たときに筆致というか、刷毛目を残せる素材を探して油絵具になりました。


 この手法をモデリングペーストで試した時期もあったのですが、乾燥が速すぎて重ねられない。リターディングメディウムを混ぜると緩すぎて画面の上で絵具がもたないんです。今のところ、100号位で2日間かけて制作していますが、それ以上になると3日位必要になってきます。描写して、上から白く塗りつぶして、もう一度掘り起こす。必然的にこの作業には油絵具の乾燥速度でないと出来ないんです。今はこれだけ厚く塗っているけど、薄く塗った作品も作ってみたいですね。


 主に白を選択しているのはコントロールのしやすさからです。初めの方は表面の白を巻き込んで、思っていた色が出ないことも多かった。やっと絵具の深さと混ざり具合が分かるようになって、最近はグラデーションをつけたり、出来ることの幅が広がりましたね。


 筆も、筆先と軸を切ったものを自作しています。軸は長いと肩に刺さってしまうので(笑)。画面のかなり近くで作業するのですが、筆を引き抜くときに軸が長いと肩に当たってしまうんです。この動きを延々とするので、初めの3分くらいは楽しいんですけど、しばらくすると嫌になってきます(笑)。  コンセプトについては、スカラシップ生の頃から変わってはいないのですが、今まで1枚の作品を作ることに必死だったのが余裕も出来てきました。アクリル絵具など新しい素材を使って次のステップへ挑戦したいと思っています。



プロフィール

今西 真也

Shinya Imanishi

1990年
奈良県生まれ
2015年
京都造形芸術大学大学院 芸術表現専攻 ペインティング領域 修了

個展

2017年
「ISANATORI」nca | nichido contemporary art /東京
2018年
「Wind, Rain, and your Words 」Art Delight /ソウル
2020年
「Shinya Imanishi : Light Exposed」galerie nichido Taipei /台北
2021年
「羊羹とクリーム」 Bijuuギャラリースペース/京都

グループ展

2013年
京都造形芸術大学 卒業制作展
2015年
「京都造形芸術大学大学院修了制作展」
「3331 Art Fair 2015 ‒Various Collectors' Prizes‒」3331 /東京
「Sensing Body」nca | nichido contemporary art /東京
「混沌から躍り出る星たち 2015京都造形芸術大学 次代のアーティスト展」スパイラルガーデン /東京
2016年
「劫後風景」gallery nichido Taipei /東京
「Artothèque Selection展[今西真也、熊谷亜莉沙]」/京都
2017年
「日台文化交流展覧会マイ・コレクション展感性の寄港地 —キュレーター長谷川裕子—」T-ART GALLERY /東京
「群馬青年ビエンナーレ2017」群馬県立近代美術館 /群馬
「echo of the echoes」西武渋谷 /東京
2018年
「ARTISTS’ FAIR KYOTO」京都文化博物館 別館 /京都
2019年
Kyoto Art Tomorrow 2019 ー京都府新鋭選抜展」  京都文化博物館 本館 /京都
ARTISTS’ FAIR KYOTO」京都文化博物館 別館 /京都
untamed vol.1 COHJU contemporary art/京都

「大鬼の住む島」WAITINGROOM /東京
「SMALL WORKS:終わりなき旅I」nca | nichido contemporary art /東京
2020年
「カンサイボイス - A journey through painting today」nca | nichido contemporary art /東京
「シェル美術賞展」国立新美術館 /東京
2021年
Up_01 銀座 蔦屋書店GINZA ATRIUM/東京

受賞歴他

2013年
京都造形芸術大学卒業制作展 学科賞
2015年
3331 Art Fair 2015 ‒Various Collectors' Prizes‒にて田中英雄賞 小松準也賞
京都造形芸術大学大学院修了展 大学院賞
2016年
第31回ホルべインスカラシップ奨学生
2019年
Kyoto Art Tomorrow 2019 ー京都府新鋭選抜展 優秀賞
2020年
シェル美術賞2020 グランプリ受賞


■前回の「アーティスト インタビュー」記事はこちら!

アーティスト インタビュー vol.5

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