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第35回 ホルベイン・スカラシップ奨学生が決定しました!

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第35回 ホルベイン・スカラシップ

スカラシップ実行委員会はこの度、厳正な審査の結果、227名の応募者より第35回スカラシップ奨学生として新たな7名を選出いたしました。
沢山のご応募を頂きまして誠に有難うございます。

 

ホルベイン・スカラシップ実行委員会は、下記 7名を第35回の奨学生として認定いたします。(敬称略)

荒井 理行 大久保 紗也 寺内 大登 中田 さつき
長嶺 高文 堀 至以 やましたあつこ  

 

審査員講評

今井 俊介(美術作家 /第 22 回ホルベイン・スカラシップ奨学生)

ポートフォリオ審査を終え感じたことをいくつか述べてみたい。応募者はすでに作家としてキャリアを築き始めている方から全くのニューカマーまでバラエティに富んでいたように思う。ただ、既視感の強いもの、特に近い先行世代の影響が色濃く出すぎているものが多少なりとも目についた。過去に学ぶことは多くあると思うが、あまりに近いところを参照したり近接していくのは自分なりの何かが見えにくくなってしまうのではないか。
選考に際しては5年後、10年後にどのような作品を作っているかを見てみたいと思う方を選ぼうと心がけた。ある程度スタイルが出来上がってきている方も、まだ荒削りな方もこの先に作家としてもがいていくであろう姿が見え隠れしている方が残ったと思う。
最後まで選考の議論に挙がった作家たちに共通していたのはポートフォリオがシンプルで見やすいということ。ポートフォリオは作品とどのような作家なのかを簡潔に伝えるためのものであるはずで、人に見せるという意識が弱いものが多かったように思う。画集等を多く見ていれば自ずと作り方はわかるはずではないのかなと思う。雑な作りのものを見るとそういう作家なのかと思ってしまう部分も少なからずあるのはもったいないことではないか。また、作品や制作に関してのレポートを読むと、わざわざそれっぽい言葉で難しく書いているものが多く、結果として遠回りで何が言いたいのか焦点がボケているものが多かった。無理せず自分の言葉で簡潔に書くことが大切なのではないだろうか。
今回は選外だった方たちも、あと少し、もう数点作品が見たいと思うものが多かったので来年もぜひ応募していただきたいと思う。

 

伊藤 悠(HARUKAITO ディレクター/ギャラリーオーナー)

このたびは、ホルベインの審査に参加させていただき、とてもおもしろかったです。 同じようなポートフォリオのファイルなのに、人それぞれの個性や性格が垣間見えるようでした。中には、几帳面な人、中には、直接絵をはってしまってるようなワイルドな人など、とても個性に溢れていました。
その中でも、作品に一貫性があったり、コンセプトがしっかりしてる人は、時系列に作品を並べた中でも、伝わるものがあり、他の人と違う、その人だけの個性が一貫している人だったり、このままのびたらどうなるのかな?という興味が湧く人を選んでいきました。
そういう意味で、ポートフォリオも限られた紙面の中で、どういうストーリーをみせていくか、自分のどこを伝えていくのか、キュレーション的な視点がある方がいいのだなと、たくさんポートフォリオを見る中で思いました。
三人の審査員がそれぞれよかったと思った人たちを並べて、そこから七人を選んでいく作業の中では、作品の系統が、重ならないようにということも考えながら、議論して進めていきました。結果、それぞれの方向性が際立った、いいラインナップになったと思います。
この七人がまた、画材の提供をうけて、新たな作品に挑戦したり、これからも、制作に勤しんでのびていっていただけることを、楽しみにしています。

 

神山 亮子(府中市美術館学芸員)

私にとって今回の審査は、応募者の方々の熱意と誠意あふれるポートフォリオを前に、絵画と美術、それだけについて議論を交わすことのできた楽しい時間でした。
ほとんどが絵画であった応募作品には、全体に、絵画の定義や本質や役割は何かという大前提の問いはさしあたって脇に置いて、具体的にできることを丁寧に探って描いていこうとする作家たちの姿勢を感じました。コロナ禍に適応して生き延びる術を考えざるをえない、そうした状況も反映していると思いました。
最終的に7名に絞るのは、とても難しい作業でした。今年にサポートを受けるべき作家であるかについて、私たちなりに様々な面から検討しました。しばらく描くこと、つくることを続ける心づもりの方には、ぜひ再チャレンジをしていただきたいです。

 

ホルベイン・スカラシップについて

ホルベイン・スカラシップ奨学制度は、優れた芸術作品の創造と美術界の発展を願い、国内で活動する作家を支援するためのCSR活動として発足いたしました。当奨学制度では、作品の形態を問わず色材(油彩・アクリル他)を必要としている作家に対して、ホルベインの取り扱う多様な材料・用具を提供することでその活動を支援いたします。