絵具、絵画材料のホルベイン

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ホルベイン・スカラシップ成果展 2020 開催レポート

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ホルベイン・スカラシップ成果展 2020 開催レポート

去る7月30日から8月9日まで、第33回ホルベイン・スカラシップ奨学生の成果展が佐藤美術館にて開催されました。コロナウイルス禍の影響により本来予定していた4月末から開催を延期、7月に入り再度感染者数がじりじりと増え始め中止の議論もありながらもなんとか無事開催、終了出来たことに安堵しています。少し日が空いてしまいましたが、開催レポートをお届けします。

この成果展は、昨年6月に認定された第33回ホルベイン・スカラシップ奨学生7名(飯田 翔之介・井上 瑞貴・菊池 遼・末松 由華利・田岡 智美・水戸部 七絵・若林 菜穂)が、奨学期間中に各々が要求したホルベインの絵具・色材・用具などをメインに用い制作した作品を展示したものです。
開催の延期期間中に作品を練った方も多く、スカラシップレコードに提出した作品よりも更に変化がみられた方も多くいらっしゃいました。
作家たちが奨学の成果をまさに作品で見せてくれ、素晴らしい展示となりました。

講評会の様子

開催前日の7月29日にはクローズドで講評会が行われました。
昨年6月にこの7名の奨学生を選出した審査員の方々から、一人一人の作品に対しての丁寧で熱量のある講評をいただきました。普段私たちにはなかなか聞く機会がないものですが、うかがっていて腑に落ちるありがたいものでした。

講評会 審査員

<審査員>

  • 堀元彰(東京オペラシティアートギャラリー チーフ・キュレーター)
  • 畑井恵(千葉市美術館 学芸員)
  • 仙石裕美(画家 FACE損保ジャパン日本興亜美術賞2018グランプリ 第19回ホルベイン・スカラシップ奨学生)

個人講評(一部抜粋)

水戸部 七絵

(畑井)厚塗りの分厚さがやはり水戸部さんの作品の特徴としてあり、絵の具もこれだけ使われれば使われ甲斐がありますね。他2点についても、意外性も含めて素敵だなと思いました。

井上 瑞貴

(仙石)(感情的なものをダイレクトに表に出したくないという井上さんの言葉をうけ)これだけはっきりした色を使うと、色の効果でそんなに個人的な情緒的なものには見えないし、そこまで重く感じない。逆にコントロールしきらなかった部分が観ているものにとってフックになりうると思う。

飯田 翔之介

(堀)武蔵野図屏風とか、日本画の古い風景画とかも想起させて面白い。これは夕焼け?
(飯田)夜の風景のグラデーションというか、時間とか空間も現実的というより曖昧な、太陽はあるけれど影は描いていない。夕焼けなのか、朝焼けなのか、象徴的な映像として描きました。

菊池 遼

(畑井)すごく完成されていて、思うように動かされてしまいました。(菊池さんの作品の画像が離れていれば見えるのに近づくと見えなくなるなどの効果、鑑賞者を動かす、という話から)

末松 由華利

(仙石)絵の具をすごく丁寧に扱っていて主体性を持たせてあげているので絵の具の気持ちになって「ありがとう」と言いたくなりました。発色も綺麗で繊細で、繊細だからこそ出る強さも魅力です。

若林 菜穂

(堀)作品がどんどん繋がっていって、映画のワンシーンのように続いているようにも見えて面白い。光の効果が大きく、しかも、自然光や人工的な光、コンピュータのモニタの光だったりして、ひとつの世界に広がっている。

田岡 智美

(仙石)音楽性やリズム感があるなあと思ってみていました。また、新しさやポップさを感じるとともに、田岡さんの作品群の色合いが大和絵や織部の焼き物のような色にも見えて、新しい可能性を感じます。

トークイベント「パンデミックとアーティスト」

8月1日には「パンデミックとアーティスト」と題しトークイベントをYouTube生配信で行いました。

トークイベント登壇者

<登壇者>

  • 中野仁詞(神奈川芸術文化財団学芸員、第56回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館キュレーター、横浜トリエンナーレ2017キュレーター)
  • O JUN(画家、東京藝術大学美術学部教授、第5回ホルベイン・スカラシップ奨学生)
  • 曽谷朝絵(画家、現代美術家、第13回ホルベイン・スカラシップ奨学生)

配信後も奨学生からの質問に真摯にお答えいただくなど、作家にもありがたい時間となりました。

ホルベインコーナーの様子

3,4階はメインの作品展示となっており、5階では全員分の小品展示、ホルベイン・スカラシップについての過去の資料やホルベイン製品の紹介コーナーを設けました。
オンラインショップと本社ショールームでしか買えない限定商品のご紹介なども。

また、アパレル商品も好評でした。奨学生に着ていただいてアピールしていただきました。

スカラシップの展示はホルベインとしても28年ぶりとなりましたが、とても意義のあるものでした。
コロナ禍のなか、来館者数が振るわず、悔しい思いもしましたが、この作家たちもホルベイン・スカラシップもこれからまだまだ飛躍します。どうぞ今後も見届けてください。

※第34回スカラシップについては、開催のみ決定しており詳細は未定です。
※8/7から9/25のオフィシャルサイトトップの成果展画像、このページの写真(人物が入っているもの以外)は全て photo: Daisaku OOZU